着物を着用する仕事や、茶道や華道といった習い事をしていない方にとって、
着物は特別な時に着る華やかな衣装、というイメージではないでしょうか?
私自身もこれまで数回しか着物を着たことがないので、詳しい知識は全く知りませんでした。
でも、着物を洋服にリメイクするようになり、いろんな種類の着物を手にして、はじめて違いや奥深さが見えてきました。
シンプルに見える「色無地の着物」にもとても素敵な魅力があります。
この記事では、色無地の着物の特徴をまとめました。
また、リメイクする時にはちょっとした工夫をすると素敵なワンピースも作れます。
リメイクして仕上がったワンピース3着もご紹介しています。
「色無地着物」の特徴
色無地とは、その名の通り“無地染め”の着物のことです。
紬や小紋のように細かな柄がないため、一見するととてもシンプルに見えます。
でも、「地紋」と呼ばれる織り模様が生地の中に存在し、光の当たり方で模様が浮かび上がる美しさがあります。
派手さはなく、落ち着いたものですが、式典から食事会まで幅広く使える着物として昔から重宝されてきました。
色無地は、帯合わせがしやすく、帯の格を変えるだけでフォーマル・セミフォーマル・カジュアルと柔軟に変化します。
“一枚あると便利”という着物。
もう少し詳しく見ていきましょう。
誰がいつ着ることができるのか
既婚・未婚問わずに着ることができます。
着ていけるシーンが幅広いので、着用する機会が多い着物なんです。
(紋の有無・数によって格が大きく変わります)
たとえば、
・紋なし…略装として、食事会・観劇・ちょっとした集まりに
・一つ紋…準礼装として、お宮参り・お茶会・子どもの学校行事
・三つ紋…準礼装~礼装として、結婚式・式典
このように、同じ着物でも紋の数によって場面が大きく変わるのが他の着物にはない特長です。
また、喪服の代わりに落ち着いた色の一つ紋の色無地を着用することも地域によっては見られます。色の選び方によって印象が左右されるため、「色無地は難しい」と感じる方も多いのですが、基本を知れば非常に扱いやすい一枚です。
色無地着物とは
色無地は「後染め(あとぞめ)」の着物で、白生地を無地一色に染めて作られます。生地は主に一越ちりめん、縮緬(ちりめん)、紋意匠ちりめんなど。
地紋(織模様)の有るものと無いものの2種類に分かれています。
地紋無しの素材は 縮緬、一越、 二越、三越の4種類。そして、家紋の数で格が変動するという特徴があります。
地紋の種類
色無地を語るうえで「地紋(じもん)」は欠かせません。地紋とは、織りで表現された模様であり、染める前の生地の段階で織り込まれています。光の角度によって模様が浮かび上がり、無地でありながら豊かな表情を持ちます。
有職文様「流水文・紗綾形文・網代文・雲文・波文」などは慶弔両用
吉祥文様「桐竹鳳凰、松竹梅、笹蔓文、高台寺文、宝尽くし」などはお祝いの席に
有職文様「菱小葵、雲立涌」
名物裂文様「一重蔓唐草、笹蔓文、牡丹唐草の名物裂」
縞・格子文様「横段格子」などは、幅広く活用できます。
織り方によって模様が作られます。
それで角度を変えると光の反射で模様が浮き出ているように見えます。
絹ならではの艶模様がとても上品で美しいです。
地紋は上質なほど細やかで、触れば凹凸がわずかにわかる程度の織りが多く、染めることで模様がより上品に浮かび上がります。

リメイクの場合も、この地紋が非常に魅力的なアクセントになり、新しいアイテムに独自の美しさを加えてくれます。
紋の数で格が変わる
色無地の特徴といえば「紋の数によって格が変化すること」です。
・紋なし…街着〜略礼装
・一つ紋…準礼装
・三つ紋…準礼装〜礼装として使用可能
特に一つ紋は非常に使いやすく、茶道のお稽古から子どもの入学式・卒業式まで幅広く利用できます。
三つ紋を入れることで訪問着にも近い格となり、結婚式や正式な式典にも着用できます。
紋入れは後から加工することも可能で、家紋だけでなく「替え紋(しゃれ紋)」というデザイン性のある紋を入れる方もいます。
選び方
色無地を選ぶときのポイントは、「色」「地紋」「紋の有無」の三つです。
淡い藤色、薄桃色、若草色、灰青などは年齢問わず使いやすい万能カラーです。
華やかな場面が多い場合は淡い色、格式高い場面やフォーマルメインなら濃い色もおすすめです。
次に地紋は、リメイクする予定があるなら細かいものがおすすめです。小物や洋服にしたときも柄が均一に見えやすいからです。
そして「紋」。利用シーンに合わせて紋の数を決めると、後々まで使える一枚になります。
お色は年齢や用途、お顔映りのよい色を選ぶようお勧めいたします。
歳を重ねるにつれて映える色も変わってきます、その時は染め直すこともできます。
色無地の着物は帯がとても引き立ちます。
帯を変えて様々なコーディネートを楽しめるのも色無地着物の魅力です。
色無地の着物からリメイクしました!
色無地はリメイクの素材としても適しています。無地染めであること、地紋が美しいこと、重くないことから、幅広い作品を作ることができます。
たとえば、
・ワンピース
・ロングスカート
・ブラウス
・バッグ
・ポーチ
・ストール
淡い色の色無地なら、洋服にしたときに上品な光沢を保ちながら現代的なシルエットになります。濃色の色無地はバッグや小物にすると、深みある上質な雰囲気が出ます。
色無地の生地はやわらかいため、裏地をつければ洋服としても着心地がよく、肌触りも優しいです。
ワンピース①
たっぷりギャザーを入れたワンピースは、くたっとした質感なので広がりすぎません。

同系色の丹後ちりめんを合わせました。
カジュアルな着こなしになりますね。籠バックを持つとお洒落ですよ。
ワンピース②

淡いクリーム色、ウエストの切り替え部分に別のオレンジ色の着物を挟み込みました。
クルミボタンは色無地に変化を与えてくれます。
着物の色や質感などを考慮して、それぞれの着物に合うデザインを心掛けています。
ワンピース③

同じくウエスト切替部分と袖口裏に別の色無地着物を取り入れてみました。
このように、色無地の着物に他の着物の色をプラスすると、一層おしゃれ感が増します。
色無地の着物を解いて初めて気づくこと
色無地を解くと、生地全体に広がる地紋の美しさを改めて感じます。
色無地はシンプルな着物ですが、解けば奥行きのある伝統の技が詰まっていると知ることができます。この気づきこそが、リメイクにおいて最大の魅力かもしれません。
着物の状態では分からない解いて分かることは、時代物のため色褪せしていていることがあります。
無地のためくっきり分かるくらい色が変化している時もあります。
その時は、タックを入れたりギャザーを入れて、劣化が目立たないデザインを考え工夫して使用しています。
表裏の違いが無い着物は、裏面を表にして使ったこともあります。
そのように工夫してみてくださいね。
