特別な時にしか着ることのない訪問着
代々受け継がれてきた大切な時代物の訪問着
眠らせておくのはもったいないので洋服にリメイクしたいけれど…
と私も悩んでしました。
ぜひ挑戦していただきたいです。
私自身が製作して気づいた点や失敗して学んだ点をまとめましたので参考にしていただけると嬉しいです。

これまで何百着の洋服を作ってきましたが、慣れない緊張する作業があります。
それは生地にハサミを入れる作業。
特に、訪問着の場合は柄が主役なので、失敗するとやり直すことが出来ません。
柄の中心をどの位置にもっていくかによって、5㎝上すぎても、5㎝左に寄りすぎても、バランスの悪い洋服に仕上がってしまいます。
裁断は仕上がりの映え方に影響する、とても重要な作業です。
この記事では、
訪問着の解き方、洋服にリメイクする際のポイント、
それから柄の配置について 完成した洋服の写真と共に ご紹介いたします。
訪問着の解き方
着物リメイクは「解き方」で仕上がりと使える布量がかなり変わります。
実は、私もこれまで解く際に生地に穴を開けてしまい、その箇所は使えなくなったという残念な経験があります。
それで糸は切るというより、リッパー や目打ちを使って指で少しずつ解いていってくださいね。
私がおすすめする解く順番は以下の通りです。
①襟を外していきます。一番縫い目が多い部分。衿芯(厚紙や接着芯)が入っていることあります。
②袖を外します。身頃との縫い合わせ部分をほどく。
ここでの注意箇所は、袖付けと身八ツ口です。補強のため、かんぬき止めがされているものがあります。糸を切る際に着物も一緒に切ってしまわないように注意してください。
③裏地を外します。
④身頃を解く
おはしょり部分をほどく。
ただし訪問着のような絵柄のある着物は、脇縫いなど身頃の縦の糸は解かずそのままにしておきます。
訪問着を洋服にリメイクする際のポイント
訪問着を洋服へリメイクする際には、素材・柄配置・着物構造・洋裁パターン
といった着物特有の生地の特性や柄の配置を先に考慮することが大切だと思います。
そうすることで、訪問着本来の「絵羽の美しさ」や「絹の質感」を生かした、他にはない一点物の洋服に仕上げることができますよ。
では詳しく見ていきましょう。
1.素材診断
絹地は繊細であるため、洋服に仕立てる際は生地に負担がかからないデザインを選ぶ必要があります。
次の点をチェックしてみてください。
・絹の種類(伸縮性・地厚・落ち感を確認)
・経年変化(ヤケ・変色・地直しの必要性)
・加工の有無(金彩・刺繍・友禅など)
→ 洋服用の裁断時に「熱・摩擦・水」に弱い部分を避けるようにします。
2.柄付け(絵羽模様)の配置
訪問着は 「絵羽(えば)模様」で、柄が縫い目をまたいで構成されていますので柄の連続方向(流れ)を把握します。
柄を“切らざるを得ない箇所”を最小限に抑えるパターン配置を考えます。
金駒刺繍・金彩加工はアイロン温度に制限あります。
洋服用パターンは通常「曲線裁ち」ですが、着物は「直線裁ち」。
この構造差を考慮し、柄を美しく見せるための配置をよく考える必要があります。
3.用尺と裁断(パターンメイキング)
着物は反物(約36cm幅)が8枚程度で構成されているため、洋服の型紙をそのまま置くと生地が足りないことがあります。生地幅や必要な用尺を事前に確認し、無理のないデザインを検討することが重要です。
パーツの再構成(接ぎをどこに入れるか)
不足部分をどの生地で補うか(八掛などを用いる)
裁断前に地なおし行い、縮みや歪みの調整が必要になこともあります。
4.縫製技術の選択
絹は縫製時に滑りやすく、縫い目が目立ちやすいため、一般の布とは扱いが異なります。
●縫製ポイント
シルク用針(細番手)と細番手シルク糸を使用
ステッチは極力控える(表に響きやすいため)
脇・肩などテンションのかかる部位に補強布を挟む
金彩部分は押さえ圧の低い押さえに変更
また、裏地は吸湿性・静電気対策を兼ねてキュプラ(ベンベルグ)などを用います。
訪問着の特徴を生かすデザインのアドバイス
● Aラインワンピース
●プルオーバー
●スカート(セミフレア・ストレート)
一方避けた方がよいデザイン:
体にフィットするカットソー系
ギャザーを大量に入れるデザイン(柄が隠れる)
バイアス裁ち(型崩れしやすい)
絹の特性と柄の配置から、形は必ず 「生地優先」で決めることをお勧めします。
訪問着からリメイクしてみました!
一着目:ワンピース
地紋入りの淡いベージュに「手描き友禅」の可愛い訪問着です。

襟開きは緩やかなVネックにしました。
同じ訪問着からスヌード
おくみ部分が余ったので、スヌードを作りました。
裏面は落ち着いた若草色の色無地の着物を合わせてみました。

二着目:ワンピース
オレンジ色の大輪の花が目を引く訪問着です。
大胆に肩の位置から柄を入れてみました。デザインはシンプルなAライン。

同じ訪問着からプルオーバー

前身頃と左袖に柄を配置。
袖の柄は、右袖か左袖にするか、バランスを見て決めていきます。

プルオーバーにするとパンツスタイルにも合うので、ちょっとしたお出掛けにも着用できます。
いかがでしたか?
訪問着の柄の大きさや色によって仕上がりが違いますよね。

お手元の着物はどんなデザインが合いそうでしょうか?
着物を解きながら、仕上がりのイメージをしてみてください
そうすると、解く作業も楽しくなりますよ♪
洋服への仕立て方次第で寿命が大きく変わります。永く美しさが保てるようにリメイクしていきましょう。